コレット ニース=マズール (著), エステル メーンス (イラスト), Colette Nys‐Mazure (原著), Estelle Meens (原著), 柳田 邦男 (翻訳)
【生きる力が芽生える】絵本
タイトルのはじめの文字が、
あいうえお かきくけこ と順番に紹介をさせていただいています。
今回は【て】で始まる絵本を紹介します。
優しさを表すつもりで伝えたことが、
自分や相手にとってマイナスを引き寄せてしまうことがあるのを、
あなたは知っていますか?
そのひとつに「可哀そう」があります。
この言葉を言うと、
言った人も言われた人もマイナスの気持ちを感じてしまいます。
なぜならば、
「可哀そう」の意味は、「気の毒」だからです。
そして、
「気の毒」は
「自分の気持ちや心にとって毒になる」が語源です。
だから、
「可哀そう」と言うと、
「私の気持ちや心に毒になっていますよ」
と無意識に相手へメッセージを送っていることになるかもしれません。
生きていると、不幸に感じる出来事が起きることがあります。
例えば、子どものころに両親が死んでしまうなど・・・。
でも、不幸を感じていても、誰かに温かく接してもらったり支えてもらうと、
前を向いて歩けるようになります。
私は、8歳の時に父を亡くした経験から、
そのように感じます。
『でも、わたし生きているわ』の絵本は、
両親を事故で失くした3人きょうだいの長女、ネリ─が主人公です。
3人のきょうだいは、親戚にばらばらに引き取られます。
そして、引き取られた先で、愛情を受けて暮らしていきます。
定期的にきょうだいそろって過ごすこともできます。
大人に「孤児(みなしご)」と呼ばれることがあったり、
両親が生きていた時のことを思い出して悲しくなったりすることもあります。
でも、幸せも感じています。
そして、大人になった時の夢も語っています。
この絵本は、幼い時に相次いで両親を亡くした作者自身の体験を元に、
創作されたお話です。
大人が読むと、
愛をもって温かく接することや支えるということを知ることができます。
子どもが読むと、
生きる力が芽生えます。
訳者の柳田国男さんは、
「つらい思いをかかえる子たち、自分を肯定できない子たち、
孤独に悩む子たちに、この絵本を届けたい」
と帯で伝えています。
親子で読むことで、
自分を肯定的にとらえたり、
生きる力が芽生えたりします。