のぶみ(作・絵) 岩崎書店
子どもは、小さな大人ではなく、子ども独自の感性を持っています。
親は、その事に気付かずに、大人の感性を押しつけてしまうことが少なくありません。
例えば、絵本を読んだりテレビを見たする際に、
大人は、現実ではないことを理解しています。
しかし、子どもは、絵本やテレビの中での出来事を、
現実の世界と同じように感じます。
つまり、子どもは、絵本やテレビの出来事に対して
感情を伴った実体験ができるのです。
だからこそ、子どもには、感性を育てる絵本をたくさん読むことで、
体験を通し感性を育てる事ができるのです。
この絵本は、すでに小鳥のぴぴを飼っている
かんたろうが、犬を飼いたいと、お母さんに伝える場面から、
お話が始まります。
しかし、お母さんは、うちには、ぴぴちゃんがいるから犬は飼えないことを、
かんたろうに伝えます。
すると、かんたろうは、
「ぴぴちゃんが死んだら、犬を飼ってもらえるのかな・・・」
と考えます。
幼児の気持ちはシンプルですので、そう考えるのも無理はありません。
そして、本当に、ぴぴちゃんは死んでしまうのです!
その時の、お父さんの会話や行動は、
子育ての大きな参考になります。
それは、かんたろうを叱るのでもなぐさめるのでもなく、
受け入れているからです。
多くの絵本は、動物が擬人化されていたり、
感動するお話が多いのですが、
この絵本は、現実に起こりそうなことを、
体験できる事が素晴らしいと思います。
実は、このような話の絵本は、ありそうで、なかなかありません。
なくしてからわかる命の大切さ、
簡単に考えたのに、その事が現実に起きた時の悲しさ、
反省しているのに、問題行動に見える行動でしか親に表現できない幼児の姿、
その姿を受け入れる親の姿
この絵本を読むことで、この4つを、親子で学べます。