マリー・ホール・エッツ(作) 偕成社
自分を理解してくれる人がいる事の幸せを感じたい方、お子さんのコミュニケーション能力を高めたい方
お子さんに時間の経過を伝えたい方のいずれかに当てはまる方に、お勧めのえほんです。
お人よしの牛が、友達をパーティーに招いて、ごちそうをしましたが、
その友達の中には、草が嫌いな友達がいて、途中で帰ってしまします。
なぜなら、その友達とは、豚と犬と猫と
ガチョウとめんどりとおんどりとネズミだったからです・・・。
牛は悲しくなってしまいますが、
残ってくれた馬とヤギと羊の子と一緒に喜びを感じながら
草を食べました。
この絵本の作者は、『もりのなか』が有名な、
マリー=ホール=エッツです。
この絵本の一番素晴らしい部分は、表紙です。
絵本の表紙は、これからお話を始めるにあたっての導入ですので、
重要なのですが、この絵本の表紙は、主人公の牛が正面を向いています。
それは、聞き手に対して「あなたと向き合いますよ」というメッセージなのです。
核家族化や少子化や遊ぶ場所の減少などによって、コミュニケーションを苦手に感じている方が増えています。
それは、他人と向き合う習慣が少ないことも原因のひとつです。
この絵本を親が読んであげる事で、
絵本を通して「あなたとちゃんと向き合いますよ」のメッセージを、
子どもに伝える事ができます。
また、時間の概念がわかるようになるのは、10歳くらいからなのですが、
教育熱心な親御さんほど、時計を使って時間を教え込みます。
しかし、時間を教えるよりも重要なのは、時間の経過を学ぶことです。
この絵本では、【時間の経過】を学ぶことができます。
文章には時間の経過はほとんど出てきませんが、
絵で、時間の経過を表しています。
5ページまでは全く太陽が出ていませんので、午前中のお話だと感じられます。
6ページ以降には太陽が出ていますので、お昼過ぎを表しています。
16ページから太陽が沈み始めるので、夕方を表しています。
24ページでは月と星が出て夜を表しています。
そして26ページではまた、太陽が出ています。
この絵本を繰り返し読むことで、時間の経過を学びますと、
後で、時計や時間の計算を学んだ際に、大きな力を発揮します。
読み聞かせをする際に、大人は文章を読みますが、
子どもは、絵を読みます。
だから、こどもは、文章以上のメッセージも、絵から受け取ることができます。
この繰り返しが、感性や想像力を育てます。
だから、このような良い絵本を繰り返し読むことが大切です。