ぬすまれた宝物

ウィリアム・スタイグ (著), 金子 メロン (翻訳)

犯人探しは必要?

タイトルのはじめの文字が、
あいうえお かきくけこ と順番に紹介をさせていただいています。

本日は【ぬ】で始まる絵本を紹介します。

気軽な気持ちでしたことなのに、
重大な犯人にされてしまう・・・ということが家庭で起きています。

例えば、
「子どもが万引きをしたので、怒ったのですが、
これからどうしたら良いですか?」など・・。

買い物に行くと子どもの視線の先に、
子どもの喜びそうなお菓子やおもちゃが並んでいます。

欲しくなって、つい手を伸ばしてしまう・・・というのは、
子どもにはよくあることです。

大切なのは、その時の親の対応ではないでしょうか。

そして、親の対応によって、
欲しくなったら手を伸ばすのを繰り返す子と、
二度としない子に大きく分かれることを実感しています。

欲しくなったら手を伸ばすのを繰りかえす子は、
見つかった時に叱られるだけの場合が多いようです。

叱られている時間だけ我慢すれば、
自分のものになることがわかると、
繰り返すようになるのかもしれませんね・・・。

では、二度としない子にするために、
親はどうしたら良いのでしょうか・・・。

現在中学1年生の長女が4歳の時のことです。

当時、下の子を妊娠中だった私は、
4歳の娘を連れて、自動車で
近所のドラッグストアへ買い物に行きました。

トイレットペーパー、ティッシュペーパー、
ゴミ袋などの日用品を購入し、お店を出て、
駐車場に向かうと、私は、娘の様子がいつもと違うように感じました。

娘は、Tシャツとショートパンツ姿でしたが、
右手をTシャツの裾に隠していたのです。

私は、屈(かが)んで、視線を娘の高さに合わせ、
娘を見て言いました。

「手を出してみて♪」

娘は手を出しました。手のひらをグーにしていました。

「手を広げてみて♪」

私は娘に言いましたが、娘は手をさらにギュッと結びました。

「お母さんは怒らないから、手をパーにして♪」
と私は笑顔で伝えました。

娘がゆっくりと手を広げると、そこには小さなキティちゃんのガムが!

娘はお店から黙って持ってきたのです。

そこで、私は、これから欲しいものがあった場合に、
お金を払って物を買うことと、
黙って持ってきてはいけないということを、
娘がわかるために、どうしたらいいかしらと考えました。

そして・・・・
「お母さんがついていくから、自分でお店の人に返しなさいね」と伝え、
娘と一緒にお店に行きました。

娘はお店の人に「ごめんなさい」と言って、ガムを返しました。

私はお店の人と目があいましたので、
会釈すると、お店の人も理解してくれて、
「これからは、お金を払ってから、持って帰ってね」と
言ってくださいました。

お店を出た途端、娘は大泣きしました。

私は、娘が泣き止むまで、娘をハグして背中を優しくさすりました。

この方法がベストだったかどうか、私にはわかりません・・・。

ただ、このことがあってから、
娘は黙ってお店のものを持ってくることはありませんし、
欲しいものがある場合には、ちゃんと私に伝えるようになりました。

本日紹介する『ぬすまれた宝物』は、
欲しくなったものをちょっと持って帰ったことで、
他の人が犯人として捕まり、
大事件へと発展してしまう物語です。

王室の宝物殿のカギは、
王様とガーウェインしか持っていません。

それなのに、宝物殿から、
宝物がどんどんなくなってしまうという事件が起きました。

まじめに仕事をしていたガーウェンが王様から疑われ、
犯人扱いされ、友達も失ってしまいます。

実は、犯人は別にいたのです・・。

欲しいと思って持ってきたことが、
大変な犯罪だと後で気づく犯人。

真面目な部下を疑い、
冤罪(えんざい=誤判)をつくった王様。

いつの間にか犯人にされてしまった主人公が、
犯人から事実を告げられ許すこと。

友達が犯人になった途端、そっぽを向き、
冤罪と判ると態度を変える友人たち。

これだけ深い心の葛藤や行動を、
子どもにわかりやすく伝えてくれる児童書です。

読み聞かせの場合、
小学校入学前くらいのお子さんからお勧めできます。

作者は『歯医者のチュー先生』や
『ロバのシルベスターとまほうの石』で有名な、
ウイリアム・スタイグです。

実は、王様はクマ、ガーウェンはがちょうなのです。
では、犯人のデレックは、どんな動物だと思いますか?

それは、読んでからのお楽しみです♪