おにたのぼうし

あまんきみこ (作), 岩崎ちひろ(絵) ポプラ社

2月3日は節分ですね。

保育園や幼稚園やご家庭などで豆まきをするお子さんも多いのではないでしょうか。

豆まきで追い出された鬼は、いったいどこへ行くのでしょうね・・・。

あらすじ

節分の夜、豆まきの音がしない一けん家にとびこんだおにのおにたは、病気の母を看護する少女に出会います。
<Amazonより>

子育てワンポイントアドバイス

「良いか?」「悪いか?」

【子育てで悩んだり迷ったりしている人】や
【夫婦関係で悩んでいる人】や
【コミュニケーションで悩みがある人】などは、
この二択で選択をしようとしている人が多いように感じています。

一方から見ると悪く見えることであっても、
別の方向から見ると評価が変わることがあるからです。

「相手の気持ちを考えなさい」という人がいますが、
人の気持ちは見えませんし、
私達は超能力者ではないのでわからないことがあるかもしれません。

ただ、相手の立場に立ったと仮定して考えると、
自分の立場とは違う考え方や感じ方ができることは多いのです。

節分は、立春・立夏・立秋・立冬の前日のことですが、
現代では節分というと、立春の前日を指すことが一般的です。

季節の変わり目には邪鬼(鬼)が生じると言われています。

それを祓(はら)うために、炒った大豆をまき年齢の数だけ食べたり、
柊鰯を飾ったりします。

ただ、豆まきで追い出された鬼は、どこへ行くのでしょうね・・・。

そもそも、鬼は本当に悪者なのでしょうか?

『おにたのぼうし』を読んだ時、
2013年度 新聞広告クリエーティブコンテストの最優秀賞の作品を思い出しました。

タイトルは
「めでたし、めでたし?」

泣いている鬼の子どもが描かれていて、
「ボクのおとうさんは桃太郎というやつに殺されました」
と書いてあります。

そして、下の方に小さく、
「一方的な『めでたし めでたし』を生まないために。
広げよう、あなたが見ている世界」と書かれています。

このポスターは下記からご覧いただけますので、
よろしければ、ご覧くださいませ。
www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2013/no1_b.html

『おにたのぼうし』は、物置小屋に住んでいる、黒鬼の子どものおにたは、
これまで、この物置小屋の持ち主の家族へ、
気付かれないように色々なお手伝いをしていました。

でも、物置小屋へ豆をまかれたので、
古い麦わら帽子をかぶって出て行ってしまいました。

次に行ったのは、病気のお母さんがいる女の子の家。

おにたは、お母さんと女の子にごちそうを持って行きます。

「あたしも まめまき、したいなあ。」

女の子の言葉にショックを受けたおにたは、いなくなりますが、
残された麦わら帽子には、あたたかい、くろいまめが入っていました。

女の子は豆まきをしました。

というお話です。

人間と鬼。

立場は違いますが、優しい鬼はいるんです。

ただ、私には、おにたが自己肯定感の無い人のように感じられました。

自己否定感が強いので傷つきやすくなり、何かがあると逃げてしまう人のように思うからです。

そして、女の子の姿に、感謝の気持ちが無く、満足できない人の姿を感じてしまいました。

おにたが持ってきたごちそうを食べて満足していれば、
おにたが黒い豆になることは無かったからです。

読み終えた後、切ない気持ちを感じてしまいますが、
それでも、この絵本を節分の前に読んでほしいと願っています。

それは次の理由です。

『おにたのぼうし』を読むことで、

・優しい鬼がいることに気付けます。

・「切なさ」を絵本を通じて親子で経験できます。

・人を思いやる温かさを感じることができます。

・人にやさしくしたいと親子で思えるようになります。

お勧めの絵本の理由やお子さんの反応など

先入観・偏見を持って、物事をとらえてはいけないよ、自分できちんと感じることが大切なんだよと教えてくれる本です。昔からある本ですが、私も小さい頃から読んでいました。また、いわさきちひろさんの絵もとっても素敵です。
(千葉県在住、9 歳10ヶ月女の子・3 歳11 ヶ月女の子、日本語200 冊・英語80 冊)