エリカ奇跡のいのち

ルース・バンダー・ジー(作)ロベルト・インノチェンティ(絵)柳田邦男(訳) 講談社

おすすめのポイント

子育ての相談を受けていますと、
「○○は、良いですか?悪いですか?」と聞かれることがあります。

家庭環境や目的によって、その道具や方法が、
良い場合もありますし、避けることをお勧めすることもあります。

そのため、その道具や方法について、
【良い】【悪い】のジャッジを、私は行いません。

しかし『戦争は良いですか?悪いですか?』と聞かれると、
私は『絶対に避けて欲しい』と答えます。

戦時中を舞台に描かれている絵本は、少なくありません。

この絵本は、第二次世界大戦中、
ドイツで、ユダヤ人たちが貨車に乗せられ、
強制収容所に送られるところから、
お話が始まります。

強制収容所に行ってしまったら命が無い事を悟った、
ユダヤ人の母親は、
生後2?3か月の赤ちゃんだったエリカを、
毛布にくるみ、貨車の外へ投げたのです・・・。

エリカは近くにいた人に助けられ、
無事に成長しました。

結婚をして家族を持つこともできました。

極限の状態で、
子どもが生きる可能性を探し行動をした親の愛情を感じる事が出来る絵本です。

モノトーンの絵は死に向かう様子を表しています。
その中で毛布にくるまれた赤ちゃんだけが、優しいピンクで描かれれ、
生きることの希望を感じるとれます。

戦後を表わしているラストの1ページだけは、
全てカラーで描かれ、平和を象徴しています。

子どもは、10歳までは言葉を感覚的に受け止め、
10歳を過ぎると言葉を理論的に組み替えるそうです。

だから、このような重くて深い戦争をテーマにしている絵本を、
10歳までの時期に読んであげる事で、
「戦争を行うのは良くない」と、潜在意識に訴える事ができます。

このような絵本も、本棚に置いてあげてください。