シェル・シルヴァスタイン(作) ほんだきんいちろう(訳) 篠崎書林
『母親の愛情』を感じる絵本
「母性」って、いつから感じるのでしょうか?
それは、人によって様々なように、私は実感しています。
男性は、全ての女性は母性を持っているかのように思っている人が多いようですが、
母性は全ての女性が持っている物ではなく、
育まれるものなのではないでしょうか?
きょうだいが多く、下の子の面倒を見ていた過去の時代でしたら、
きょうだいの面倒を見ることで、自然に母性が育まれたかもしれません。
しかし、現代は、1人っ子や2人きょうだいが多いため、
下の子の面倒を見る機会は少ないのです。
そのため、「はじめてお世話をする赤ちゃんが自分の子ども」
という人も多いようです。
しかも、学校や社会では、男女は平等という価値観のため、
女性も男性的な思考や行動を求められる機会が多いのです。
これらのことから、母性が育まれるチャンスも減っています。
実は、私自身もそうでした。
そのため、「子どもが可愛い」と思えるようになったのは、
長女が生後8カ月を過ぎた頃、私の言葉や表情に反応をしてくれるようになってからでした・・。
そして、子どもに愛情を持てるようになった頃から、
私は親に感謝の気持ちを持てるようになりました。
「おおきな木」の絵本は、
「与える愛」について、淡々と描かれています。
難しい言葉ではなく、簡単な言葉で伝えてくれるのに、
読むときの立場や価値観や気持ちによって、
感じ方が違う不思議な内容です。
私の場合、ある時は、子どもを思う母親の気持ちになって読めますし、
ある時には、子どもの立場になって読むことがあります。
子育て中の方も、
母親の立場と子どもの立場の両方で読むことができる絵本です。
この「おおきな木」は1964年にアメリカで出版され、
今までに30以上の言語に翻訳されました。
日本では1976年に篠崎書林から、ほんだ きんいちろう訳で出版され、
大きな反響を呼びましたが、
翻訳者が亡くなられ出版社が継続して出版できなくなりました。
しかし、今回、2010年9月に、あすなろ書房から、
『ノルウェーの森』や『1Q84』の著者、村上春樹さんの翻訳で、
出版されました。
シンプルな文章と絵が描かれた絵本ですので、
4歳以上のお子さんに読んであげることが可能です。
私は、「母性を学びたいお母さん」と
「親への感謝を学びたい人」に、
この絵本を読んでいただきたいと願っています。