パトリシア ポラッコ (著, イラスト), 香咲 弥須子 (翻訳)
【個性を認める】絵本
「発達障害かもしれないと思います!」
メールやお電話で子育てのご相談者が、
お子さんの言動をこと細かに伝えた後に、
この言葉をおっしゃることが少なくありません。
もしかしたら、
発達障害と認定されるお子さんがいるかもしれません。
もし、お子さんが、発達障害と認定されたとしても、
親がそれを言い訳にしてしまうと、
お子さんの成長はそこで止まってしまう可能性が考えられます。
大切なことは、
日常生活や社会適応に支障がある場合に、
親や学校などの周りの人たちが適切な支援やサポートをすること、
だと、私は考えています。
私が主催する楽しい子育て実践会の会員にも、
自閉症のお子さんを持つ方がいらっしゃいます。
その方は、
「子育てを学び、実践することで、子どもの個性を認め、子どもを心から愛せるようになりました」
とおっしゃっています。
また、発達障害かそうでないかに関わらず、
人は個性を持っています。
その個性とは、例えば、次のようなことがあります。
「お友達や雰囲気を気にして行動する」
「自分がやりたいことをするためには周りを気にしない」
「道筋を考え、納得しないと行動できない」
また、何かを学ぶ際に、
できるようになるのには時間がかかったり、
みんなと同じやり方では頭に入らない
などのような特徴を持つ人もいます。
大人はそれらを、頭では分かっているつもりかもしれませんが、
自分の子どもや生徒などが、
自分とは違う個性を持っている場合に、
実際の対応に戸惑ったりイライラしたりすることもあるかもしれません。
「個性を認め、個性に合った方法を工夫し、学ぶことは、人生をhappyにすること」
というのを教えてくれるのが、
『ありがとう、フォルカーせんせい』の絵本です。
この絵本の主人公、トリシャは、LDです。
LDとは、頭は悪くないのに、
読み、書き、算数や聞いたり話したりする力のどこかに、不思議な学びにくさを持った子どもたちです。(注1)
トリシャは、絵がとても上手ですが文字を読むことは苦手です。
それで、お友達にいじめられることもありました。
お友達にいじめられ落ち込んだ時の、トリシャとおばあちゃんとの会話は、
心がほっこりと温かくなります。
そして、5年生になると、フォルカー先生に出会います。
フォルカー先生は、トリシャの得意なことを認め、
苦手なことは、トリシャに合う方法で教えてくれます。
その結果、トリシャは文字を読めるようになりました。
そして、トリシャは、絵本作家になりました。
そうなんです!
この絵本は、作者のパトリシア・ポラッコの半自伝なのです。
小学校4年生まで文字を苦手と感じていた子が、
絵本作家になれるということは、
勇気や希望を与えてくれます。
この絵本を読むことで、
子どもの個性を認め、得意なことを誉め、
苦手なことはやり方を工夫して学ぶ
ということを感じ、理解することができます。
◆この絵本を読むことをお勧めしたい人◆
▼LDを理解したい人
▼子どもの個性を認めたい人
▼得意なことを誉め、
苦手なことはやり方を工夫して学ばせたい人
▼勇気や希望を感じたい人
▼心がほっこりする会話を学びたい人
▼子育て中の全ての親
▼全ての教師