やまんばのにしき

まつたにみよこ(作) せがわやすお(絵) ポプラ社

【質の高い民話】は人生の教科書!

昔から言われている事は、
科学的な根拠はなくても、
原理・原則が含まれていることが多いようです。

例えば、
新月は、種まきをしたり苗を植えたりのように「物事を始める日」
など・・・。

情報が少なく3世代以上で同居していた時代には、
それが受け継がれていました。

核家族で暮らし、
マスコミやインターネットを通じての情報が多い、
今の時代、どうやって学ぶことができるのでしょうか?

原理原則を学ぶのに最適なものの1つは、
「質の高い民話」です。

「民話」は、ある地域で語り継がれている話です。

昔は、おじいちゃんやおばあちゃんから聞くことが多かったようですが、
今の時代は、絵本を通じて民話を知ることができます。

絵本として、40年以上読み継がれている民話を1冊紹介します。

『やまんばのにしき』あらすじ

「ちょうふくやまの やまんばが こども うんだで
もち ついてこう。
ついてこねば、ひとも うまも みなくいころすどお。」

ある日、空が曇り、風が吹き、雨が降り、ヒョウが降り出すと、
このような叫び声が聞こえました。

村人たちは、餅をつきました。

村中きっての暴れん坊でいつも威張っている、、
「だだはち」と「ねぎそべ」の2人に、
村人たちは、餅を持って行かせることにしました。

「道がわからない」という2人に、
「あかざばんば」と呼ばれているおばあさんがついていくことになりました。

しかし、「だだはち」と「ねぎそべ」は途中で逃げ出し、
「あかざばんば」は一人でやまんばを訪ねました。

21日間、やまんばのお手伝いをした
「あかざばんば」は、
「美しい錦」をお礼にもらいました。
「村の人達が風邪をひかないようにする」と約束もしてくれました。

この錦は村中の人に切って分けても、
次の日には元の長さになります。

それからというもの、
村の人達は、風邪もひかず、楽に暮らしたそうです。

子育てワンポイントアドバイス

あらすじを書くと、よくある昔話のように感じる人がいるかもしれません。

実は、この話には、原理原則と3つの学びをすることができます。

【3つの学び】

1.人を見る目を養う

この物語では、
普段は暴れん坊で威張っている、
「だだはち」と「ねぎそべ」の【小心さ】

いつもは地味な「あかざばんば」の
【勇気】【知恵】【芯の強さ】

「やまんば」の
【優しさ】

など、表面と本当の姿の違いが描かれています。

この絵本を読むことで、
人の本質を見る力が養われますし、
自分がどうありたいかという将来の姿をイメージすることができます。

2.人を思いやる行動が周りも自分も幸せにする

「だだはち」と「ねぎそべ」が逃げ出した後、
「あかざばんば」は「どう すべ・・」と考えました。

しかし、
「おらまで村へ逃げ帰れば、
村中の人も馬もみな食い殺されるかもしれね、
(途中略)
おらが食い殺されれば すむことだ」と心に決めて、
やまんばのところへ向かいます。

また、
「21日ほど手伝ってくれ」と産後のやまんばに頼まれたので、
「今日喰われるか、明日喰われるか」と思いながらも、
「あかざばんば」はやまんばの手伝いをします。

このような行動は、やまんばの心に伝わって、
「村の人達が風邪をひかないようにする」の約束と
「美しい錦」をいう【ギフト】につながり、
村の人達も幸せにすることができました。

3.ポジティブ思考

「なんでもねえと 思えば、
なんでもねえもんだ。
さあさあ、げんきを だして、
いくべ いくべ。」

これは、やまんばの元へ行く途中の、
「あかざばんば」の言葉です。

精神論かもしれませんが、
思ったことは叶います。

一見ピンチのような状態になっても、
「何とかなる」と思って行動した結果、
本当に何とかなったことってありませんか?

ほとんどの人が1回はありますよね♪

どんな時でも「何とかなる」と考えることは、
大切ですよね。

3つの学びは以上です。

他にも、
●満月の時にやまんばが出産した
→統計的にも昔から、満月の時は出産が多い

●「21日ほど手伝ってくれ」
→21日間続けたことは習慣になる

など、昔から言われていることが、
物語の中に含まれています。

「あかざばんば」の表情が微妙に変化しているのは、
せがわやすおさんの絵の素晴らしさです。

この絵本を読んでもらった子どもは、
人の表情で相手の気持ちがわかる人に成長します☆

このような方にお勧めです。

●「人と思いやる気持ち」を育みたい人

▼「人を見る目」を養いたい方

■「ポジティブ思考」になりたい方

●「勇気」を持ちたい方

などなど・・・。

お勧めの絵本の理由やお子さんの反応など

日本の民話では、やまんばの話がたくさんでてきます。おそろしくて人をとって食うやまんばがほとんどなのですが、このお話の中にでてくるやまんばは、こどもがいる、人の良いやまんばです。(昔話、民話)