住井 すゑ (著), 滝平 二郎 (イラスト)
【季節の行事を楽しむために】⇒『たなばたさま』
日本の七夕祭りは、7月7日または8月7日というところが多いようです。
ウィキペディアによりますと、
七夕(たなばた、しちせき)は、
中国、台湾、日本、韓国、ベトナムなどにおける
節供、節日の一つ。
五節句の一つにも数えられる。
元来、中国での行事であったものが奈良時代に伝わり、
元からあった日本の棚機津女(たなばたつめ)の伝説と合わさって
生まれた言葉である。
ということです。
たんざくに願い事を書いて笹の葉に飾る行事を、
ご家庭やその他の場所でする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その時に、行事にまつわる物語を知っていると、
行事をさらに楽しめるのではないでしょうか。
あらすじ
西省のあたりに、5人の”りょうしゅ”がいました。
そのうちのひとつ「王家(ワンけ)」のりょうしゅは
評判の高いりょうしゅでしたが、
となりのりょうしゅに攻められて亡くなり、
子どもの白光(はくこう)と紅華(こうか)の兄妹は
川下のりょうどへ逃れ、
そして、その妻は死んで天の川の星になりました。
その後兄妹はどれいになり、
同じりょうどにいながらはなればなれになりましたが・・・。
<Amazon.co.jpより>
子育てワンポイントアドバイス
この絵本は、恋人同士の「織姫」と「彦星」の物語ではありません。
中国の領主の子どもである、
兄の白光と妹の紅華は、
奴隷になり、
一生懸命に働くお話です。
奴隷たちは1年に1度だけ、
7月7日の夜しか自由になることができません。
そのような過酷な環境であっても、
ネガティブになるのではなく、
希望を持って働く喜びを感じると、
報われることがあるという物語です。
一見哀しい物語のように思えますが、
兄妹が仕えた領主は、
心が優しく、
3年後にこの兄妹を助けます。
この領主の対応こそ、
器の大きさのように感じました。
「どんな状況になっても希望を持って今できることを一生懸命にすること」
「器の大きな優しさ」
「七夕」のキーワードにプラスして、この2つを感じる物語です。
『モチモチの木』『花さき山』の絵本でおなじみの、
平滝二郎さんの切り絵が物語にとても合っている絵本です。