おとうさんの ちず

ユリ シュルヴィッツ (著), Uri Shulevitz (原著), さくま ゆみこ (翻訳)

【生きたお金の使い方を教えてくれる】絵本

お金の節約や貯め方の本や雑誌や情報は、
世の中にたくさんありますが、
【お金の使い方】を教えてくれる情報は、
本当に少ないように、私は感じています。

実は、人の人生を決めるのは、
時間とお金の使い方で、
これまでに使った時間とお金の使い方が、今の状況を作り、
今の時間とお金の使い方が、未来の状況を作る
と、私は考えています。

そして、親の時間とお金の使い方は、
子どもの未来の状況も作っていることを、
私は、実感しています。

そして、余裕がない時こそ、
お金の使い方が、
その家族の未来を作るのかもしれません。

もし、今、自分が住んでいる国が戦争になり、
別の国に避難し、
わずかなお金しかない時、
私たちは、家族に何を購入するのでしょうか・・・・。

『おとうさんの ちず』の絵本では、
4歳の男の子と両親が、
戦争のために別の国に逃げた場面からお話が始まります。

ポーランドに住んでいたこの家族は、
1939年、ポーランドが大空襲にあったため、
当時のソ連のトルキスタン(今のカザフスタン)へ逃げ、
6年間暮らしました。

この絵本の内容は、その当時の、作者の自伝なのです。

命からがら逃げ出した家族は、
小さな部屋でよその夫婦と暮らし、
寝るのは、土を固めた床の上で、
おもちゃも本も食べるものもありませんでした。

ある日、お父さんが、市場へパンを買いに行きました。

日が暮れる頃、やっと帰って来たお父さんが買ってきたのは、
何だったのでしょうか?

それは、長い巻紙でした。

お父さんは、誇らしげに、
「地図を買ったぞ」と言いました。

お腹をすかせていた主人公の4歳の男の子は、
怒って「お父さんを許せない」と思いました。

次の日、お父さんは、地図を壁に張りました。

主人公の男の子は、何時間も地図をながめました。

そして、地名で詩を作って唱えたり、
地図の上を旅したり、
紙が手に入った時には、地図を書きうつしたりしました。

地図のお陰でひもじさも忘れ、
空想の世界で何時間も過ごしたのです。

そして、この男の子は、
パンを買わなかったお父さんを許し、
「やっぱいお父さんは正しかったのだ」と思ったのでした。

この男の子であり、
この絵本の作者のユリ・シュルヴィッツは、
トルキスタンで6年間過ごし、
1947年にパリに引っ越し、
1949年にイスラエルに移住しました。

そして、1959年にアメリカに渡り、
絵本作家としてデビューしました。

さまざまな国に住んだ経験を元にした、
彼の絵本の根源にあるのは、
お父さんが彼に与えた家庭環境だったように、
私は感じています。

この絵本を読むことで、
親のお金の使い方が、
子どもの将来に与える影響を知ることができますし、
子どもの想像力のすごさを感じることができます。

◆この絵本を読むことをお勧めしたい人◆

▼クリエイティブな子どもに育てたい方

▼創造力が豊かな子どもに育てたい方

▼今、人生が最悪と感じているけれども豊かな心持ちたいと願っている方

▼生きたお金の使い方を学びたい方