きつねのおきゃくさま

あまんきみこ(文), 二俣英五郎(絵) サンリード

お勧めの絵本の理由やお子さんの反応など

初めて読んだのは1歳9ケ月の時。私自身が読みながら涙声になってしまう本でした。娘にはじめて見せる態度でした。娘の表情が「微笑み」から、きつねが勇敢に戦って死んだシーンでは、「かわいそう」「死んでしまった」「きつねおにいちゃんのお墓」と言いながら、悲しそうにずっとうつむいていました。そして何度も「もっと読んで下さい!」と。その後から、よく「元気だして」「大丈夫?」と病気した家族や友人に声をかけたり、自分の事を「きつねのおにいちゃんみたい」と言っているのを聞くと、人に対して優しくなった感じがします。「死」「優しさ」「勇気」「悲しみ」が短いストーリーの中にもぎゅっと凝縮し、小さい子どもの心にもギュッと感じさせてくれる絵本だと思いました。
(東京都在住、1歳11ケ月女の子、日本語400冊)
泣きます!心に訴えるものがあるようです。
(新潟県在住、8歳2ヶ月男の子、日本語50冊・英語3冊)
絵がとても豊かで、登場する動物達の温もりが伝わってきます。また、太らせてから食べてやろう、と動物達の世話をするうちに、情が芽生え、最後には自分の身を挺して彼らを守ったきつねの心。そして、その死を嘆く動物達の心。どちらの心も持ち、そういう相手の気持ちもわかる人になって欲しいと思いました。絵本から『死』の場面を無くそうという傾向もあるようですが、『全ての生き物は死んでしまって戻らない』、ということを小さいころからきちんと伝えていきたいと思っているので、その点でも意味がある本だと思います。
最初は決して優しい気持ちから親切にしていた訳ではなかったきつねが、「親切な」、「神様みたいな」と言われるごとに気持ちが変化していき、最後には大切な者を守る為に死んでしまう・・・。何度読んでも親の私が泣いてしまいます。